2016.02.17
池上彰緊急スペシャル!! なぜ世界から戦争がなくならないのか?!
カテゴリ:時事問題
表記の番組を観ましたが、素晴らしい内容!の一言です。
まさに、「なぜ世界から戦争がなくならないのか?」というテーマに沿ってタブーなき解明・解説が行われていました。テロを防ぐ道、軍需産業と戦争、広告代理店の果たした役割、産軍複合体、防衛装備移転三原則の問題、戦争をなくすためにドイツが行っている取り組み、戦争に向かわせた指導者の言葉、そしてメディアと戦争の関係。事実に基づく圧倒的な説得力を持った提起でした。
例えば、国民を戦争に向かわせた指導者の言葉
そして、戦争につき進んでいく圧倒的な雰囲気が形成される中で・・・
そして、そのような「空気」を形成するうえで報道機関(メディア)が果たした役割は大きいという、池上さんの報道人としての自戒と呼びかけに感動した次第。
上記の画像は、番組の末尾に出てくる重要な結論部分ですが、「報道機関が政治に左右されてはいけない」例として出されるのは以下のとおりです。
満州事変の前夜、「満蒙は日本の生命線」と宣伝し、満州での軍事行動を準備していた軍部を批判する記事を書いた大阪朝日新聞は、「反日的な売国的な新聞だ」という攻撃を受け不買運動が起こった結果、発行部数が激減します。
その2か月後、大阪朝日新聞のトップは方針を完全に転換し、満州における「傀儡国家の建設」を肯定する記事を書くようになるのです。その結果、販売部数は回復したということです。
(ビジネスとしてなり立たなくなったので読者に迎合し、方針を転換した。)
そして、現代の米国においても・・・
新規参入したニュース専門放送局であったFOXニュースがCNNの視聴率を抜いた理由は、戦車に乗って記者がカメラを回し、「軍と一体化した実況中継」を始めたからでした。そして、米軍を客観的に「アメリカ軍」と表現したCNNに対してFOXニュースは「わが軍」と表現。
「正義と平和を実現するわが米軍」という心地よい情報を求める視聴者に迎合することで、高視聴率を獲得した、というわけです。
しかし、国家や視聴者に迎合しなかった報道機関の例として、池上さんは英国のBBCを紹介します。フォークランド諸島をめぐってアルゼンチンとイギリスが交戦した際、BBCは「アルゼンチン軍」と「イギリス軍」と表現して報道しました。
それに対して、保守派の議員がなぜ「わが軍」として報道しないのか、と追及したところ、BBCの局長は次のように答えて公正中立な報道を貫いたとのこと。
しかし、と結論部分で池上さん
報道機関=メディアが(発行部数や視聴率を稼ぐために)読者・視聴者に「心地よい報道」・時の政権に迎合する報道をするならば、国民の多くが戦争について正しい判断ができなくなる、正しく反省できなくなることを指摘するのです。
もちろん上記は、番組のごく一部でしかありません。テロを防ぐ道、軍需産業と戦争、広告代理店の果たした役割、産軍複合体、防衛装備移転三原則の問題、戦争をなくすためにドイツが行っている取り組み等々、番組のメッセージをなるべく近いうちに紹介したいと考えています。
それにしても、「このような報道は無理ではないか」というフジテレビに対する偏見も吹き飛ばすような優れた番組でした。確かに現政権の意に沿わない報道であったため、大きな圧力を受けることも予想されますが、まさに池上彰さんと出演者、フジテレビのスタッフが「勝負をかけた番組」であると高く評価しています。
アップされた動画はこちら