なぜ北欧モデルで成長できるのか

 

北欧諸国の高い税率、手厚い失業保険、所得の平等を特徴とする経済が成長するはずはない(まるで崩壊した社会主義方式ではないか)と主張する新自由主義の経済学者も後を絶たないようですが、事実は逆。いったいなぜでしょうか。

 

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 英米型モデルが改革への唯一の道ではない。むろん北欧型の路線についても同じことがいえる。日本は、世界各国の最善の方法の中から最良のものを見出し、選び取る必要がある。必要なのは、日本モデルに新しい活力を吹き込むことだ。

 

〔引用は以上 『週刊東洋経済』(2008年/12号)より

 

〔コメント〕

 

北欧の生産様式(経済の仕組み)は疑いなく「資本制生産様式」なのですが、『スウェーデンの挑戦』(岩波新書)で著者の岡沢は次のように述べています。
 「“スウェーデンモデル”は資本主義と社会主義を統合する試みとも定義できる。市場メカニズムに規制され、世界市場を指向する生産システムの果実を享受しながら、同時に、その利益を「連帯」「公正」というスウェーデン本来の目標を基礎に分配することである、」と。
 これを読む限りでは、利益(経済成長)は目的ではなく「手段」として位置づけられており、「人間が利潤追求の手段として物あつかいされる状況」をかなりの程度克服していると考えられます。


 資本の論理に従わなければ経済成長するはずがない、といった新自由主義の経済学者が主張する「常識」を打ち破ったところに北欧社会の大きな意義があるのではないでしょうか。

 

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