学力が高い子が育つ「フィンランド式」の真実(「学力世界一」のフィンランドの教育)

 

 フィンランドの子どもたちは学力世界一であるといわれます。

 

 (・・・)そして、フィンランド教育の一つの特徴として挙げられるのは、就学前(6歳)から徹底して「問題解決力」を養うことです。

 一体、フィンランドの考える力をはぐくむ教育、すなわち問題解決能力を育む教育はどのようなものなのでしょうか。

 

  福田誠治著『格差をなくせば子どもの学力は伸びる −驚きのフィンランドの教育ー』(内容:フィンランドの教育制度、フィンランドの教育力、フィンランドの教育改革)の紹介記事もよろしければご一読ください。

 

   『競争しても学力行き止まり』(朝日新聞社)「イギリス教育の失敗とフィンランドの成功」も、ぜひ・・・

 以下、『週刊東洋経済』(2008年/12号)から引用します。  

 

@問題解決力

(・・・)

 国語で問題解決というと違和感があるかもしれない。しかし、フィンランドの国語教育では、あらゆるテキストを「問題を提示し、解決の具体例を提案してくれる相手」ととらえる。ここで「桃太郎」を例にとって、問題解決のためのプロセスについて具体的に説明しよう。(・・・)物語にはさまざまな問題が含まれている。(・・・)大切なのは最大の問題を特定すること。言うまでもなく、「桃太郎」の最大の問題は「鬼」である。

(・・・)つまり「桃太郎」というテキストは「鬼という問題に対して、鬼を退治して宝物を奪取したらいい」と読者に提案しているのである。

 

 これを受けてまず考えるべきことは「他に解決方法はないだろうか」ということ。「宝物まで奪う必要はないのではないか」「鬼と話し合って平和共存してはどうか」等々。テキストの提案を受け、発想のかぎりを尽くして解決策を模索するのである。

 そして、読者は自分にとって最善の解決策を提案する。つまり、「桃太郎」というテキストの提案を受けて、「自分だったらどうするか」という意見を提案するのだ。(・・・)「自分なら鬼と平和共存する道を選ぶ」というように。フィンランドの国語教育の根底には、この思考プロセスがあり、これによって問題解決力の基礎を育むのである。

 

               Aコミュニケーションの力(実践的応用力=リテラシー)

 フィンランドの教育のもう一つ特筆すべき点として、集団での問題解決を重視している点が挙げられる。

(・・・)前述の国語教育の例でも、みんなで相談しながら、テキストの提案を受け止め、さまざまな解決策を模索し、その中から最善の解決策を考えていくのである。

 

 集団で問題解決を図る場合、必要不可欠な力がある。それはコミュニケーションの力だ。ただ一人だけが問題の存在に気づいても、それを他人に伝えられなければ問題を共有することはできない。(・・・)

 

 ここで重要なのは、価値観の共有を前提としないコミュニケーション力である。例えば「鬼=悪」という価値観に固執したら、「鬼と平和共存する」という解決策は生まれない。(・・・)さまざまな価値観をぶつけ合い、互いに歩み寄ることで、有効に問題解決を図ることができる。このコミュニケーション力を習得するため、集団で問題解決を図る対話においては、徹底的に「なぜ?」を問い、徹底的に「なぜか」を説明することが求められる。単純な方法だが、価値観の共有を前提としなければ有効に機能するのである。(・・・)

 

 フィンランド教育が重視する集団での問題解決力と価値観の共有を前提としないコミュニケーション力は、次世代を担う子どもたちがもっとも必要とする技能である。(・・・)この二つの技能は、人類の「ともに生きる力」として、すべての国で育んでいかなければならない。その先進事例として、フィンランドの教育は大いに参考になるはずだ。

 

 引用は以上

 

(コメント)

 上記の取り組みはフィンランドの教育の一部を紹介したレポートですが、「教育を徹底的に現場に任せる」「できる子を伸ばすよりも学習に困難を抱えた子に手厚い指導をする」「競争させるよりも学ぶことの意味を理解させる」など興味深い実践が展開されています。

 

 また、携帯電話の国際的シェアで世界最大を誇る「ノキア」が生産拠点の大部分を国内においているというのも、上記のような教育による「フィンランドの労働者の“質の高さ”」が背景にあるのではないでしょうか。グローバル化に歯止めがかからない現在、貴重な視点を提示しているように思われます。また、フィンランドを含む北欧で社会保障が充実していることは、家庭教育の条件としても恵まれていると考えられます。ワーキングプアが社会問題となり、明らかに家庭教育の基盤が崩壊しつつある日本やアメリカなどと比較しても、それは明らかでしょう。

 

 『週刊東洋経済』という経済誌でこのような特集がされるというのは、「グローバル競争で勝ち抜く」ために近視眼的になりがちな経済界も含めて、社会保障の整備や教育の充実など「みなが幸せで活気に満ちた社会をいかに目指していくか」をともに論議していく貴重な機会となるのではないでしょうか。

 

福田誠治著:『競争やめたら学力世界一』

       

 

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